マドリッド協定

虚偽または誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する1891年4月14日のマドリッド協定という国際協定です。これはフランス、スペイン、ポルトガルの三か国で実現されたもので、ワイン類の表示に関して原産地の農民、醸造家を保護しようというものです。これらの国にはコニャック、シャンパン、ポルト、シェクー、マディラなどの独特の優れた製品を持っており、これらが他国によって普通名詞化され、世界市場における独占を妨げられないようにしようという意図から出たものです。一方でワインはキリスト教の信仰上から神聖視されており、フランス革命前はほとんど荘園や修道院によって経営されていたもので、この伝統的、保守的な感情がその背景にはあります。一定の国名やその国内の地名が虚偽や誤認によって、他国または地域の製品に表示されている場合は、この協定の加盟国は輸出禁止のなどの処置をとり、国内法によって保障手段をとる事を約束したものです。協定は6条から成っていますが、第1条ではこの協定の主旨に反するようなものが輸入されようとしたときは、これを差し押さえなければなりません。この差し押さえが、その国の国内法によって不可能な場合は輸入禁止とします。さらにこれが出来ない場合には、該当する法令が修正されるまでの間、訴訟の手続きが認められます。第2条では差し押さえなどの手続き、第3条では広告などで協定の主旨に反するものはその手段を禁止することを約束する、などと規定しています。この原協定は1911年ワシントンで、25年にハーグで、34年にロンドンで、58年にリスボンでそれぞれ改正され、現行のものとなっています。日本は戦前この協定に加入していませんでしたが、1966年に閣議決定し、同年に効力を生じています。

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