ブランデー

フランス南西部コニャック地方では古くからワインを造っていましたが、17世紀の頃オランダ人がシャラント河をさかのぼって、このコニャック地方の農家からワインの買い付けを盛んに行ないました。そのため周辺農家のブドウ栽培が急速に広がり、たちまち生産過剰に陥ってしまいました。しかもこの地方のワインはドライで苦く、質も良くなかったので農家は苦境に直面しました。その時にたまたまこの地を通りかかったオランダ人の薬剤師が蒸留の技術を教え、その製品をブラントウィジンと呼びました。従来のワインなら10樽は必要で貯蔵所にも困ったものが、このワインのエッセンスなら1樽ですみ、貯蔵や輸送にも好都合です。それに何よりもワインにない芳香のため、たちまちイングランドをはじめとし西ヨーロッパで名声をはくしました。そしてこのブラントワインをイギリス人はブランデーと呼び、英蘭商人が売りまくったために、ブランデーの名は世界中に広まりました。またコニャック地方のブドウはワインとしては不向きですが、ブランデーにするには非常に優れた品質だったのでフランス政府もこのブランデーを保護するために、1909年に原産地統制名称法によって、この地方のもの以外コニャックと呼ぶことを禁じました。これはシャンパーニュ地方産以外の発泡酒をシャンパンと呼べないのと同様です。ブランデーにナポレオンと呼ばれるものも多いですが、これは各メーカーがその成熟期の長さによって各クラスにつけた名で、ナポレオンを使わずにXOやEXTRAといった表示を行っているものもあり、さらにはナポレオンの上にエキストラクラスの成熟期間70年といったものを持っているメーカーもあります。つまり、ナポレオンはそのメーカーの独自のクラス表記で、必ずしも最高品質のブランテーというわけではありません。

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